本記事のゴール
当サイトでは、AWS 上に WordPress サイトを構築する手順について解説してきましたが、WordPress サイトを構築する際にレンタルサーバーでサーバーをレンタルする方法と比べて、AWS 上で構築するメリットはどこにあるのか解説していきたいと思います。
ちなみにですが本記事は私個人の意見であり、私の所属する組織とは関係ないのでその点ご了承いただければと思います。
筆者はなぜ AWS を選んだか
ソフトウェア開発、システム構築をする際に、クラウドを使っての開発は増えてきたように思います。コーディングをするにあたっても、インフラであるクラウドを意識せざるを得ない場面は多く、そのためクラウド知識のニーズが高まっていることを日々実感します。
そこで、プライベートでも簡単に AWS を触ることができる題材として、AWS 上での WordPress サイトの構築を取り上げました。なので WordPress サイトの構築が目的というよりは、AWS を触ってみることの目的が筆者のモチベーションの出発点になっています。
つまり、知識習得目的であった、ということですね。
ですので、構築した EC2 のインスタンスについても、WordPress サイトの運用だけでなく他のことにも使っていきたいと考えています。
その前提で本記事の内容に入ってくわけですが、とは言ってもこのサイトをご覧いただいている方にはさまざまなモチベーション、ニーズがあるでしょうから、どういう場合に AWS がおすすめで、どういう場合にレンタルサーバーがおすすめか・・明らかにしたいと思います。
コスト面での比較
コスト比較の点で、結論から申し上げますと、個人の WordPress サイト (アフィリエイト目的の場合等ですね) であれば、レンタルサーバー一択かと思います。
まずは当サイトの手順にしたがって AWS 上に WordPress サイトを構築した場合の年間のランニング費用について見ていきます。
| サービス名 | 詳細 | 数量 | 単価 | 料金 |
|---|---|---|---|---|
| Amazon EC2 | m6g.medium | 1 | $0.0495/時間 | 47,698 円 |
| Amazon EBS | gp3 | 30 GB | $0.096/GB・月 | 3,801 円 |
| ドメイン登録 | .org | 1 | $12 | 1,320 円 |
| CloudFront | HTTPS Proxy | 年間 10,000,000 リクエスト | 10,000 リクエストにつき $0.01 | 1,100 円 |
| Tier 2 HTTPS | 年間 10,000,000 リクエスト | 10,000 リクエストにつき $0.01 | 1,100 円 | |
| Route 53 | DNS クエリ | 年間 10,000,000 リクエスト | 1,000,000 リクエストにつき $0.4 | 440 円 |
| ホストゾーン | 1 | $0.5/月 | 660 円 | |
| 56,119 円 |
このように、年間で約 56,000 円の費用がかかります。なお、ここで支配的になっている EC2 のコストは、リザーブドインスタンス (36 – 56%の費用削減) や Savings Plan (20 – 42%)を使えば割安にすることができますが、これについては別途記事を準備します。
一方で、レンタルサーバーの相場を見てみると、筆者がざっと目をとおした限りで各社のスタンダードプランを見た場合、安いプランで年間 5,000 円強、(厳密にではないですが) 中央値で年間 15,000 円強、高いところでも年間約 30,000 円程度でした。これらは WordPress サイトにしか使わない前提のサーバースペックになっているので、自然と安価になります。
専有サーバー vs. 共用サーバー
少し気をつけなければいけないのは、レンタルサーバーは必ずしも「専有」サーバーではない、他のユーザーと同じサーバーに同居する形を取る共用サーバーになっているという点かもしれません。
ただこれは、一概にパフォーマンスが出ないとか、可用性が低いという結論にはならない点ご注意ください。
まず可用性の観点から言うと、大きな差はないように見えます。詳細は、多くのレンタルサーバーでも定義されている、SLA を参照してください。AWS、すなわち Amazon EC2 (EC2) の場合の SLA は、稼働率 99.99% が保証されており、99.99%未満においては 10%、99% 未満の場合は 30%、95% 未満では 100% のクレジット (実質の返金) が提供されるようになっております (元の文章はこちら)。
パフォーマンスについては、共用サーバーである場合には自身でのチューニングは不可能ですが、デフォルトでサーバー提供者側がある程度のチューニングを実施してくれているので、ある意味でチューニング不要とも言えます。一方、EC2 であれば専有サーバーで自身がスーパーユーザーの権限を持つことは可能ですので、好きなだけチューニングが可能です。
ちなみにですがレンタルサーバーは共有サーバーである前提で本セクションを進めていますが、レンタルサーバー側は VPS というサービスも提供しています。こちらのサービスを使えば、自身でサーバーチューニング等は可能かと思います。価格も EC2 のオンデマンド価格より安価であるケースもありそうです。
スケールメリット
AWS で最もメリットが出てくる点としては、WordPress サイトのアクセス負荷の状況に応じてサーバーのインスタンスタイプを変えて (スケールアップさせて) 対応できる、という点です。
レンタルサーバーの場合は、上位プランへの契約変更が必要になり、ある程度のリードタイムが必要で、場合によって手間のかかる移行作業も必要になります。
この観点は 0/1 の問題ではなく、あくまでスケールにかかるリードタイムの問題とお考えください。つまり、レンタルサーバーよりも EC2 のスケールアップの方がスピーディーに実施可能、ということになります。ほぼ完全にオートスケールさせるのであれば、AWS Lambda のようなサーバーレスアーキテクチャ上でアプリケーションを動かすべし、となりますが、これですと現時点では WordPress を安定して動かすことは難しく、いったん本記事のスコープ外とします。
使い易さ
以下に簡単に WordPress を開始できるか、また運用できるかという観点からは、WordPress に特化したレンタルサーバーに軍配が上がりそうです。
まず、レンタルサーバーの場合、多くのケースで PHP や MySQL、Nginx/Apache HTTP Server といったミドルウェアを自前でインストールする必要はないようです。
また、WordPress 自体のインストールはレンタルサーバー側が提供している管理画面で行うことが多く、IT 門外の方にとっては SSH 接続や bash (Linux のシェルプログラムですね) での操作よりもやりやすいかもしれません。ただ、サーバーの知識が皆無でよいかというとそういうわけでもないと思います。
一方、IT の知識習得という観点でいうと、レンタルサーバーが提供している管理画面になれるよりも、当サイトでご紹介している EC2 インスタンスを用いた SSH 接続、Linux サーバーの管理の方が実務的ではあると思います。ただ、1 から構築する手間はかかります。
なお、当サイトでは利用しませんでしたが、AWS/EC2 の場合も、インスタンスの起動画面で「amimoto」と検索すると、WordPress インストール・チューニング済みのインスタンスが簡単に作成できます。
検索容易性
運用を進めていく上で、トラブルはつきものです。重大な、あるいは難解なトラブルについてはサポートセンターに連絡するのが良いと思いますが、そうでないトラブルについては、インターネット検索で解決方法を探すことになるかと思います。
そういった点では、AWS/EC2 の方が関連する記事の数が多くインターネット検索で問題が解決する可能性が高そうです。「EC2 WordPress」の検索ヒット数が約 3,610,000 件、S 社レンタルサーバーが約 1,040,000 件、X 社レンタルサーバーで約 1,690,000件でした。レンタルサーバーでも十分な件数はヒットしていますが・・・。
まとめ
レンタルサーバーがおすすめの方
- 個人用のWordPress サイト開設、アフィリエイトサイトのみが目的の方
- IT 門外の方 (ただし、ある程度のサーバー知識は必要になる)
AWS/EC2 がおすすめの方
- IT 知識習得 (特に AWS の知識習得) 目的、特に WordPress サイト開設以外に Linux サーバーを使う用途のある方
- 中長期的に WordPress サイトを大きく育てたい方
ネクストアクション
いかがだったでしょうか。次は、家庭用ネットワーク環境から AWS 環境に安全に接続する方法の確立について考察してみたいと思います。

